馬の麻酔オンラインセミナー 質問回答

質問回答 1

全身麻酔の覚醒期にモルヒネを筋注すると講演で伺いました。
具体的な量やタイミング、使用感、どのような症例で使用するのかなど、詳しく教えていただきたいです。

我々の診療施設では通常 0.1 mg/kgを回復室で動き出す直前に筋肉内投与しています。さらに付け加えると、回復室で自発呼吸が出ている状態では、α2 作動薬を少量静脈内に投与します。

Dr. Mama

From Dr. Mama

In our practice tyipcally 0.1 mg/kg is given intramuscularly just prior to the horse moving to the recovery stall. In addition when in the recovery stall and breathing spontaneously they may get a low dose of alpha-2 agonist IV

質問回答 2

硬膜外麻酔薬を使用する際はどのような手術の際に使用しているか教えていただけると助かります。

横臥状態の馬における硬膜外麻酔には慣例的にオピオイドを症例によってはα2作動薬を低用量で使用しています。それらは回復期に痛みを伴うことが予想されるような後肢の手術やそのほかの方法が有用でない場合、または使用できない場合に使用します。硬膜外麻酔はまた、泌尿生殖器の術式、尾側腹部介入などに使用します。

Dr. Mama

From Dr. Mama

Epidurals in recumbency horses are typically done with an opioid and occasionally a low dose of alpha-2 agonist. These maybe done for any hind limb procedures where pain in the recovery period is anticipated and other techniques may not be adequate or won't be used. Epidurals may also be done for urogenital procedures and caudal abdominal interventions.

質問回答 3

2点質問させて下さい。

1点目は気管チューブの抜管のタイミングについて、可能な限り抜管を遅らせる理由として、バイトブロックとしての機能、咽頭分泌物から気道の保護とありましたが、バイトブロックとしての機能は具体的にどのような効果を期待しているのか、気管チューブを残しておくことで咽頭分泌物から気管を保護できるのか(結局は抜管するので、一緒なのではないか?)、咽頭分泌物によってどのようなデメリットが生じるのか、教えて頂きたいです。

2点目は、術中高カリウム血症について、膀胱破裂などの高カリウム血症を起こすような疾患がないようなサラブレッドでの整形外科手術において、徐々にカリウムが上昇していくような症例に遭遇した経験はありますでしょうか?またそのような状況で、高カリウム血症に対しての治療は心電図での異常がみられてからなのか、もしくはどの値から開始するのか教えてください。またGI療法について、GI療法を行う基準や、投与量、術後に副作用を認めることがあるかどうか、教えてください。

もしかして誤解させるような講義であったかもしれません。バイトブロックは馬が自分の舌や唇などを噛むことを防止するまたは最小限にすることができ、役に立ちます。私はそれが咽頭分泌物から保護すると言うつもりはありませんでしたが、開存気道の維持をしていると言いたかった。もし、カフが膨らんだままであれば、はい、もちろん分泌物、血液などの吸引を最小限にすることはできます。

もしそれが、手術手順を考慮すべき時からわかっているものであったならば、術中の高カリウム血症は重大な組織損傷(例えば、悪い難産)でみられ、他の根本的な原因なしにどの品種でも発生する可能性があります。原則として、高カリウム血症はHYPPのヘテロ接合体またはホモ接合体であるクオーターホースまたはアメリカンペイントホースに、より一般的に見られる傾向があります。兆候はけいれんなどとして現れることがありますが、一般的には麻酔中に日常的に行う連続的な血液検査、血液ガス、電解質パネルで明らかにできます。 グルコースとインスリンの投与量に関しては質問回答4をご参照ください。

カリウムのレベルに関しては、答えるのが難しい質問です。
心電図の兆候があれば絶対にイエスですが、他の治療法(カルシウム、重炭酸塩など)にも関わらず、カリウムが上昇し続ける場合にはそうです。

例えば、4.9だったものが5.3に上昇し、20分後に5.8になる。もちろんpHは調整されています。K+はHイオンでシフトすることを忘れてはいけません。

フロセミドは効くまでに時間がかかるので、それに加えてインスリンとグルコースを追加するかもしれません。 私は高カリウム血症にマグネシウムを使用したことはありません。通常、動物が低カリウム血症の傾向がある時に使用するので、ここではコメントができません。

蹄葉炎とインスリンに関する限りでは、私はこの分野に精通しておらず、私たちがこの方法で治療するのが限られていることも考慮しても、私は蹄葉炎とインスリンの関係性を言及することができません。原疾患が考慮されるかもしれませんが。

Dr. Mama

From Dr. Mama

Sorry if you misunderstood or I mispoke. Yes the bite block can help in that it prevents or minimizes a horse biting its tongue or lips etc. I didn't intend to say it protects from pharyngeal secretions but rather that it maintains a patent airway - if the cuff is left inflated then yes it minimizes aspiration of secretions, blood etc. if that is a consideration from a procedures Intraoperative hyperkalemia has been seen with significant tissue trauma (e.g., bad dystocia) and may occur in any breed without other underlying causes. As a general rule we tend to see hyperkalemia more commonly in quarter horses or american paint horses that maybe be hetero or homozygote for HYPP - signs may manifest as twitching etc., but generally it is observed on sequential blood work - blood gas and electrolyte panels which we routinely perform during anesthesia Not sure i understood the question on GI therapy -

質問回答 4

麻酔維持期に原因が特定できない高カリウム血症に遭遇した場合の治療法として、フロセミドの投与、インスリン+グルコースの投与、を選択する場合、それぞれの投与量や投与にあたって気を付けておくべきことがあれば教えて頂きたいです。

フロセミド‐1 mg/kgが最初の投与量としていいと思います。少なくとも30分かかって利尿効果が出てきます。そして、輸液療法も提供する必要があります。インスリンとブドウ糖の投与は注意が必要です。グルコースはバランスの取れた電解質溶液で2.5または5%に、インスリンの容量は状況にもよるのですが、通常は0.1国際ユニット/kgが使用されます。

Dr. Mama

From Dr. Mama

Furosemide - 1 mg/kg IV is a good starting place - will take at least 30 minutes to be effective at diuresis and one should make sure to also provide fluid therapy Insulin and glucose should be done with caution - glucose may be 2.5 or 5% in a balanced electrolyte solution and insulin doses vary pending circumstances but 0.1 international unit per kg of regular insulin has been used.

質問回答 5

吸入麻酔と静脈麻酔を組み合わせたいわゆるPIVAで麻酔をかける際の導入後の流れはどのようにしていますか。

吸入麻酔薬を吸わせるのと同時にCRIを開始しますか。吸入麻酔薬を流す量を減らすタイミングに悩みます。自発呼吸が残り呼吸管理がしづらいということがあります。

鹿児島大学では、ケタミンとプロポフォールで倒馬して気管挿管した後、イソフルランの吸入と人工呼吸を開始します。この直後に乳酸リンゲル液とメデトミジン―リドカイン―ブトルファノールのCRIを開始します。イソフルランは、導入直後~手術室移動までは終末呼気濃度を1.3%程度に維持しています。手術室に移動(導入後20分程度)してからは反射や血圧を参考にイソフルラン濃度を適宜調節(終末呼気濃度1.0%程度)しています。自発呼吸が残存することは少ないのですが、もし自発呼吸が残存する場合は麻酔深度が浅すぎではないか、高炭酸ガス血症になっていないかチェックして必要に応じて対処します(低血圧になっていて昇圧処置を行ったら自発呼吸が落ち着いた経験もあります)。

以上ですが、ご参考になれば幸いです。

齋藤先生

質問回答 6

スリング装着の際に、重種、繁殖馬、競走馬と体重に個体差がある中で、その個体にあったスリング装着をするために気を付けているポイントがあれば教えていただきたいです。

重種でのスリング使用経験がないため、育成馬、競走馬、繁殖牝馬、種牡馬のみの話になりますが、起立した際にスリングに緩みすぎないように装着しています。

海道先生

質問回答 7

筋弛緩薬の使用について馬の場合は覚醒時に筋弛緩効果がある程度切れている状態が良いかと思いますが、導入時のミダゾラム投与量について0.04 mg/kgの施設が多いように思いますが、症例によってミダゾラムを使用しない場合があるかどうか、また投与量による感覚的な違いがあれば教えていただきたいです。

ミダゾラムを使用しない場合はありません。家畜高度医療センターでは0.04–0.06 mg/kgの範囲で使用しています(基本的に0.04 mg/kg)。この範囲でミダゾラムを使用して、投与量による覚醒時の筋弛緩効果に違いを感じることは特にありません。 雄の成馬、気性が荒い馬、鎮静の効きにくい馬などにはミダゾラムを多めに投与しています(0.06 mg/kg)。その馬にとって倒馬薬の投与量が少ない場合は、倒馬までに時間がかかりますし、倒れてからも筋弛緩が不十分となります(口が開かなくて挿管できない、四肢の伸展・硬直が残る等)。

海道先生

質問回答 8 – 13

α2agonistによって馬の筋血流量がどの程度下がるのか、また体位による影響や、どの程度まで組織環流を気にするべきか(特に吸入麻酔薬を用いず血管抵抗が上がりやすいような場合)教えていただけたらと思います。

例えばRegional Anesthesiaが使えないような手術で、手術の痛みに応じて鎮痛薬の用量を変えていく場合、小動物ではオピオイドのことが多いと思います。馬ではどういう戦略でいくことが多いのでしょうか?(ケタミンをあげるなど…)

馬にロクロニウムなどの筋弛緩薬を使用したご経験がありますか?

ベンチレーターについてですが、pressure-regulated ventilatorを使用しており、特に疝痛で腹圧が高い馬で十分なtidal volumeが得られていないのかhypoxemia, hypercapniaになることが多くあります。
吸気圧をあげるにも限度があるのでもし使用されたことがあれば対処法など教えていただけるとありがたいです。
またそのventilatorではPEEPを設定することができません。呼吸数、吸気時間を上げることでend expiratory pressureを陽圧に保てるのかもしれないと思っているのですがいかがでしょうか?

新生仔馬の導入について質問ですが、吸入麻酔のマスク導入をされていたと思いますが、利点、症例の選択は何でしょうか?
膀胱破裂の症例のみ吸入麻酔で導入していますが、α2を使わなければケタミンなどの導入でもリスクは変わらないのではと思っています。

覚醒時のオピオイド使用についてですが、どの薬品をどのような用量で投薬していますでしょうか?
また、オピオイドの投与により覚醒の質に影響が出たことはありますでしょうか?

動画で久代先生から回答していますのでご覧ください。